今年もようやくこの時期がやってきた。2012 Ironman Hawaii 世界選手権が、10月13日土曜日に堂々と開催される。毎年この10月の2周目の時期に、34年間の歴史を得て、このハワイ島カイルア・コナにて、年々規模を大きくして、この聖地と呼ばれる場所で、各地のIronmanレースで上位を目指し権利を得た、強豪揃いのプロやエイジグルーパー達の世界王者を決める、天候とレースともに熱いイベントが繰り広げられる。
レース時の天候等は、毎年少しずつ違う面が現れるが、実際例年を通して、海からの湿度のある熱さや照り返し等が、アスリート達を蝕み、海岸線を走るバイクコース特有のコナウィンドが、ランダムに色んな方向からも吹いてくる。この状況下の中で、世界選手権として相応しいこのハワイ島コナにて、このタフなコンディションの中、誰が肉体的にも精神的にも耐え続け、ベスト中のベストなコンディションで常に挑んでくるプロだけではなく、色々な目標を持つエイジグループの選手の中で、最後に誰が優勝を勝ち取り、たくさんの思いや経験の詰まった、記録に残るたくさんのフィニッシュシーンが待ち受けているかが見所である。
今回のハワイスペシャルレビューは、各地のレースで得たポイントを稼ぎ、プロランキングの上位、プロ男子50名とプロ女子30名の中から、一番熱い優勝に近い選手達を選別したので紹介したい。
プロ男子
Craig “Crowie” Alexander(クレッグ・クローウィー・アレキサンダー)
ベストオブベストなパフォーマンスを毎年見せてくれる、2006、2011年Ironman 70.3世界王者で、2008、2009、2011年Ironman Hawaii世界王者として素晴らしい経歴を積み上げてきた、オーストラリア代表Craig Alexander、通称クローウィーが、4度目の王者としてのクラウンに一番近い存在だ。去年に比べ、今年は、怪我や病気もなく、健康的なトレーニングを積み重ね、シーズンメインのメルボルンの地区選手権やハワイとラスベガスの世界選手権のレースに合わせて、常に最大限の威力を見せつけてきた。4週間前のIronman 70.3世界選手権では、トップを行く選手に3分差を開いてしまったが、ランの強力さの存在を見せつけ、1分まで差を縮めたが、連覇はならず2位に終わってしまった。だが、そこでのパフォーマンスは、ハワイに向けての準備としても順調に進んでいる兆候も出ていた。バイクが弱いと言う評判から挽回し、2011年ではその弱さを否定するパフォーマンスを見せ、ポーカーフェースの見た目で、他の選手を惑わせ、一度狙った獲物は最後まで逃さない。今年は、3種目共バランス良くトレーニングを重ね、去年よりも更なるパワーアップをし、ハワイのランコースで2時間35分で走れる持久力もつけ、3種目ともバランスの良いレースプランや補給の重要性を更に改善してきたので、一番輝くレースリーダーになるだろう。
Chris “Macca” McCormack(クリス・マッカ・マッコーマック)
2000年のシドニーオリンピック落選のショックから、オリンピックドリームを一度は諦め、ロングディスタンスの世界へ登場し、2度世界王者に輝く等、その存在感を多いに表現してきが、2011年シーズンに入り、オリンピックの夢を再度叶えるため、Ironmanレースから離れ、ハイスピードを要する、ショートディスタンスに転校したが、今回もオリンピック出場できなかったものの、2012年シーズンからまたIronmanレースにビッグにカムバックを果たした、オーストラリア代表ミスター・カリスマ、Chris “Macca” McCormackが、ハワイのフィールドに帰ってくる。今年は、スペインで開催された2012 ITU Long Distanceの世界王者になり、その後70.3レースなどで、ハワイのためのポイント稼ぎとビルドアップを重ねてきた。2010年に世界王者に輝いた時は、Andreas RaelertやMarino Vanhonacker等のヨーロッパ選手達と組み、事前に協力体制を取りレースのバイクパートで彼らを利用して、Craig Alexanderをバイクで置いてけぼりにする作戦を取り、そのまま自分に優位なレース展開に持って行き、優勝までの階段を駆け上った。今回は、オリンピックディスタンスで学んだスピード感を活かし続け、いまだに変わらないそのカリスマ性とビッグマウスぶりで、もうすでに他の選手に頼れない状況下で、自身の更なる能力と賢い戦略的なレース展開をみせてくれるだろう。
Pete “PJ” Jacobs(ピート・ピージェイ・ジェイコブス)
ここ3年間で、トップ10入りの常連としてその強さを証明し始め、去年2011年ハワイでは、初の2位フィニッシュを飾り毎年実力を見せ続けている、オーストラリア代表Pete Jacobsも優勝候補として外せない存在だ。最速ランナーとしてだけではなく、高速スイマーとしての定評が高く、常にトップでスイム通過するパフォーマンス力を見せる。今年は、例年と同じく怪我や病気に悩まれたシーズン開始をしたが、ハワイに向かって、ここ3ヶ月間しっかりとしたトレーニングプログラムをこなし、主にバイクの強化に専念し、今年こそは、トップ10入りするだけのレースじゃ満足はしないだろう。特に、バイクの弱さを自身でも指摘し、それを重点に置いて、今回のハワイに向けてのトレーニングをうまく重ねてきているので、得意のスイムでトップ集団であがり、バイクでも先頭集団でトランジションに上がってくることができれば、このPJをラン勝負に持ってこさせれば、優勝を手にすることも間違いない。
Andreas Raelert(アンドレアズ・ラエラート)
2010年ハワイデビューからいままでトップ3入りを果たし、ショートコース上がりのスピードとスイタイリッシュな走りを見せてくれる、ドイツ代表Andreas Raelertも猛チャージをかける。今年のシーズンは、アップダウンが激しく、Ironman Frankfurt ヨーロッパ地区選手権にてバイククラッシュ等ありで4位で終わったが、その後は、Challengeシリーズ等のロングコースを主に出場し優勝を重ねてきた。ハワイでのフィールドでは、まだ経験が浅いと思われがちだが、弟のMichael Raelertと似て、始めから全力疾走を見せ、後半ギリギリの粘りと持久力のなさ問題あるが、ここ3年間で積み重ねてきたロングのレース経験とペース配分さえ、しっかり維持し頭に入れておけば、最終直面で他の強力ランナーと争える力は十分にある。去年は、ギリギリで8月のIronmanレースに出場しハワイの権利を得たことや、スイム上りのトランジションで、不運にもMatty Reedにエルボーをくらい、めまいと出血もあり、多少の疲れも見えたと思うが、今年はしっかりとしたレースプランを組んで、このハワイに標準を合わせてきているので、優勝に向かってトレーンングパートナーの弟Michaelとの協力体制、いままで以上のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。
Dirk Bockel(ダーク・ボッケル)
シーズン初めは、あの強豪フィールドの2012年Abu Dhabi Triathlonにて、暑さと砂嵐に負けない強さを見せ優勝をし、唯一トライアスリートとして、サイクリングチームNissan Leopard Trekの一員になった、ルクセンブルク代表Dirk Bockelも外してはいけない選手だ。2009年ハワイデビュー後は、必ずトップ10入りを果たし、その存在を知らしめて来た。北京オリンピック出場経験もあり、そのオリンピックのフィールドで、ハイスピードを要するバイクで、大幅に逃げ切る程の強靭な足を持ち、2011年ハワイでは、粘り強いコンスタントなペースをキープし、4位に入賞する等常に注目を浴びている。今年は、Ironman Regensburgにてロングディスタンス初挑戦のMichael Raelertに、大幅な差をつけ優勝を勝ち取る等、弱さを見せないパフォーマンスを証明してきていることから、今年もトップ争いに加わる選手として目が外せない。
Marino Vanhoenacker(マリノ・バンホナッカー)
2010年のハワイ大会では、3位に入賞するなど勢いを見せていたが、去年のハワイでは、無念にも脱水症状でリタイアに終わったが、今年はポイント稼ぎのため、シーズン初めから、Ironman 70.3 South Afric、Ironman New Zealand、 Ironman Frankfurtヨーロッパ地区選手権で優勝し、Ironmanディスタンス世界記録保持者として、このベルギー代表Marino Vanhoenackerも、優勝争いに食い込んでくる。Ironman Frankfurtでは、バイクで逃げた現70.3世界王者Sebastian Kienleをランで追い抜かし、そのまま独走で優勝をし、その持久力とパワーを再度証明した。元々デュアスロン上がりのため、スイムを不得意としてるが、長身から繰り出すパワーをバイクで発揮し、そのままランでもステディに走り切ることができる実力がある。今年は、相性が悪い灼熱のハワイにて、しっかりとした栄養補給ができれば、更なるベストパフォーマンスを十分に見せてくれるだろう。
Michael Raelert(マイケル・ラエラート)
2009年にダークホースとして、70.3世界選手権に登場し、そのまま新しい時代を迎える様に、初出場で世界王者に輝き、翌年2010年も余裕の連覇も果たし、1時間9分で走るハーフマラソンの強さを見せつけてきた、ドイツ代表Michael Raelertが、今年ようやくハワイデビューを果たす。去年は、2010年世界王者のハワイ出場権利を使い、2011年ハワイ世界選手権の出場も目指しており、この時、Raelert兄弟揃ってトップ2フィニッシュすると、スポンサーのK-Swissから100万ドル(約8000万円)の賞金ボーナスが与えられるとか話題になったがだが、怪我の影響で、出場を断念する結果になった。今年は怪我の療養に専念し、70.3とハワイの両世界選手権にレーダーを合わせてきた。70.3レースでは、負けなしのパフォーマンスを見せてきたが、今年のIronman 70.3 Texasアメリカ地区選手権では、パンクに悩まされたり、運が向かない時期もあったが、70.3ヨーロッパ地区選手権では、余裕の優勝を勝ち取り、70.3世界選手権でも、ペナルティーを食らう中、ランナーアップで8位に入賞できた。今回、兄のAndreas Raelertとの兄弟揃って出場することで、モチベーションも相当高いものになっている。ハワイデビュー戦として、この灼熱とコナウィンドが飛び交う聖地で、スイムからランまで、3種目共穴がない選手なので、トップ集団に絡める実力をどこまで見せてくれるかが注目だ。
Sebastian Kienle(セバスチャン・キンリー)
今年の2012年Ironman 70.3世界選手権で、驚異的な高速バイクで、他の強豪選手達から3分もの差を開き逃げ切り、初の世界王者に君臨し、もはやダークホースとしてこのハワイで取り上げられることがなくなった、ドイツ代表Sebastian Kienleに、更なる注目が注がれている。いままでトップサイクリストとして、ドイツ代表Norman Stadler、デンマーク代表Torbjorn Sindballe、アメリカ代表Chris Lietoみたいに、バイクパートのHawiの折り返しから、ペースを上げ、激走し、後方との差を大幅に開き、バイクトップで上がることで、ランで粘るスタイルが最近の流行だったが、今回現役のChris Lietoは欠場と言うことで、このSebastian Kienleが、その代役を買ってくれるだろう。他の高速バイクライダーと比べて、彼の強みは、ハードバイクの後に、ランがしっかり走れることで、調子がよければ、サブ2:50のマラソンを余裕で走れるだろう。スイムが弱点な分、強力なバイクで追い付き十分な差をつけ、コースコンディションのきつい初のハワイのフィールドで、しっかりとした補給をし、ランでの持久力が持てば、表彰台も確実だろう。
Andy Potts(アンディ・ポッツ)
アテネオリンピック代表、2007年Ironman 70.3 世界王者で、マルチにショートからロングまでこなす能力を持つ、スーパースイマー、アメリカ代表Andy Pottsが、競技人生の中でベストなコンディションにいると豪語しているので期待したい。今年の70.3レースは全勝し、唯一70.3世界選手権にて、強化したバイクを証明し、その後のランスピードも維持し、5位に入賞するなど、見た目もいままで以上に、スイマーからランナー寄りの体型に進化した。このハワイのフィールドで、スイムを速く泳ぎ切るのではなく、次に繋げる泳ぎをすることを目標にし、バイクとランでも先頭集団で争える力を発揮してくれるのに注目したい。
Jordan Rapp(ジョーダン・ラップ)
2009年後期に出場したIronman ArizonaやCanadaで優勝し、2010年10月のハワイへの出場権利を確実にしていたが、2010年3月に、バイク練習中に車のひき逃げに遭い、複数部の骨折や首の動脈を切り大量出血する死の寸前まで追いやられた大事故を乗り越え、その後8ヶ月間リハビリと驚異的な回復をし、2010年のIronman Arizonaを復帰戦として、見事に4位に入る復活劇を見せた、アメリカンヒーローが、ずっと思い描いていたハワイの地で、アメリカ代表Jordan Rappがようやくデビューを飾る。2010年Ironman Arizonaからの復活後、2年の間に、2011年Ironman Canada優勝、2011年ITU Long Distance Henderson世界選手権で世界タイトル獲得、そのままの勢いに乗り、2012年は、Ironman Texas、Arizona、New Yorkを全勝し、完全なる復活を遂げた。事故の影響でスイムはかなり衰えてしまったが、ずっと得意種目としているバイクパートで、他の選手と差を開くことのできる瞬発的な速さを持ち、常にトップ集団でトランジションに戻り、サブ2:50のランを余裕で走れる実力のある選手だ。今回は、自身のキャリアで始めてのハワイ出場と言うことで、長年の夢だったこの舞台で、この2年間のブランクを爆発させるパフォーマンスを見せてくれる。
Luke McKenzie(ルーク・マッケンジー)
毎年ハワイをメインゴールに合わせ、今年は、怪我の予防を重点にし、特に目立つ成績も出せず、静かにシーズンを送っていた、オーストラリア代表Luke McKenzieだが、去年初のトップ10入りの9位でフィニッシュを果たし、今年も得意のスイムとバイクのコンボで、先頭集団で争う姿を去年同様に見せてくれるに違いない。2010年は、怪我のためハワイを欠場した所から、これをモチベーションに変え、徐々に回復し、2011年のハワイでその潜在能力を発揮し始めてきた。今年は、コーチングを変え、多くの世界王者を輩出してきたTeam SiriusのSiri Lindleyの元で、新たなトレーニングプログラムをこなし、弱点のランを強化することを目的とし、練習を重ねている。20代前半でロング界へデビューし、Ironman Japan、China、Brazilを含む数々のタイトルを獲得し、今だに若手のホープとして、これから更なる飛躍を期待し、今回のハワイもどこまで成長し、順位を上げてくるかが注目だ。
Timo Bracht(ティモ・ブラット)
2006年に、ハワイデビューし、それから毎年出場を重ね、トップ10入り常連で、先頭集団争いに関わってくる、37歳のベテランで経験のある、ドイツ代表のTimo Brachtも要注意人物になる。いままでハワイでの最高順位は、2011年の5位で、いまだに衰えることのないパフォーマンスを見せる。今シーズンは、Challenge RothやChallenge Walchseeにて、2位止まりのパフォーマンスが多い中、本命のハワイまで、しっかりとした力を温存しつつ、レース当日、スイムが弱い分、バイクである程度追い上げる力を持ち、その後独特なO脚ランフォームで、続々と抜き去りトップ10入りは確実だ。
プロ女子
Caroline “Xena” Steffen(キャロライン・ヘナ・ステファン)
今年最も乗りに乗っている、2012年シーズン中に、Ironman Melbourneアジア・パシフィック地区選手権、Ironman Frankfurtヨーロッパ地区選手権大会を総なめし、ITU Long Distance世界選手権のタイトルを獲得するなど、その存在感を大幅に広げてきた、スイス代表Caroline Steffenが、最も優勝に近い存在だ。伝説のコーチBrett Suttonを率いるTeam TBB所属で、彼のガイダンスの中、シーズンを通して多くの大会に出場を重ね、長距離に対する持久力と忍耐力を養うために、次々と優勝をこなしてきた。特にバイクパートにて飛躍的な成長を遂げ、低いケイデンスで力強いペダリングから、繰り出すスピードは、あのメルボルン大会でプロ男子と変わらないバイクラップ4時間35分を打ち出した。去年は、怪我を引きずり、ハワイでは、脱水症状でフィニッシュライン目前で、順位を落としフィニッシュで倒れてしまう程、限界の所まで戦う姿を見せてくれたが、今年は、更に強化したランを発揮し、灼熱のハワイでのレース中の補給を見直し、今シーズンの戦略法で、バイクで一位通過し、ランでしっかり粘ることが優勝へと繋がるだろう。
Leanda Cave(リアンダ・ケイブ)
去年のハワイにて、初の3位に入賞し、その実力を見せつけ、シーズン早々2011年Ironman Arizonaにて、余裕の優勝を飾り、今年のシーズンは、ゆったりとしたレースプランで、十分なトレーニングを積み重ね、2012年Ironman 70.3世界王者に初めて輝いた、イギリス代表Leanda Caveに更なる注目が浴びられる。常にトップ集団で繰り広ることのできる能力を持ち、得意のスイムである程度の差を開き、そのまま力強いバイクでその差をさらに開くことで、女子フィールドの中でも最も長身で体重差がある選手だが、しっかりとしたコンスタントなランで、3種目共バランスよく走りきることができる選手だ。今年のハワイは、必ず優勝を目的にこの場に降り立ち、Team Siriusでの練習で得たパフォーマンス力と世界王者になるための必勝法を、ラスベガスだけではなく、このハワイでもそれを確実に実行してくるに違いない。
Mirinda “Rinny” Carfrae
2010年のIronman世界王者であり、70.3のスペシャリストとして、今までのキャリアで30以上の優勝を重ねてきた、毎回高速ランラップを弾き出す、スーパーランナーアップが勝利法である、オーストラリア代表Mirinda Carfraeも外してはいけない存在だ。去年の2011年ハワイでは、Chrissie Wellingtonの次に強い選手として、2位でフィニッシュし、ランで追いつけなかったことにとても悔しい思いが残ったが、今年は、シーズン中の弱みであるスイムの改善と特にバイクのスピードアップを図るために、いままで所属していたTeam Siriusから脱退し、コロラド州ボルダーにて、Craig AlexanderやJulie DibensをコーチングしているRetulのバイクフィットスペシャリストのMatt Steinmetzの元で、バイクの強化を主にトレーニングを続けている。今シーズンのレースでは、どの大会でも優勝を逃し、思ったようなパフォーマンスが出せずにおり、70.3世界選手権では、レベルアップした彼女の姿を見れるかと期待したが、新しい補給法がうまくいかず、バイクの途中で胃の不調を起こし、リタイアすることになった。これを気に、トレーニングだけではなく補給法の調整をしつつ、この灼熱のハワイにて、いままでの不調さを戻せるパフォーマンスを見せてくれるかに注目したい。
Rachael Joyce
2011年のITU Long Disntace世界選手権王者に輝き、その存在感を十分に表してきた、イギリス代表Rachael Joyceも優勝に近い選手だ。エイジグルーパー上がりで、2009年にプロでハワイデビュー後、すぐにその隠れた能力を年々さらけ出し始め、翌年の2010年のハワイでは、5位に入賞し、2011年には4位へと上り詰めてきた。今シーズン初め、Ironman Melbourneアジア・パシフィック地区選手権では、スイムトップで上がり、ニューバイクのCervelo P5をお披露目と共に、バイクパートで更に強くなったバイクとランを見せつけ、優勝者Caroline Steffenの後にフィニッシュし、2位に入賞した。そして、その後のChallenge Rothでは、強豪から逃げ切り、サブ9タイムの8時間45分でフィニッシュを飾り、その強さをすぐさま見せ始めた。Team Abu Dhabiから脱退し、新しい有力スポンサー等が付き、すべてがうまく決まり、コーチにChris LietoやRasmus Henning等のトップアスリートを抱えるMatt Dixonの元で、現在プロ生活もパフォーマンスも絶好調に見えるので、今回得意なスイムと成長したバイクとランが、3種目共自身のレースプラン通りうまくかみ合えば、そのまま優勝まで突っ走ることもできるだろう。
Mary Beth Ellis(メリー・ベス・エリス)
去年のIronmanレースのAustria、Regensburg、Canadaにて3戦3賞し、ハワイへの切符を取り、今年は、最もホットで著しい成長が見える選手である、スーパートライアスロンチームTeam TBB所属、アメリカ代表Mary Beth Ellisも、もはやダークホースとしてではなく、優勝の圏内にいる選手へと成長している。3種目共に、バランスのいい選手であり、今年の大会では、Ironman TexasとIronman New Yorkにて、激的なタイムで優勝をし、現アメリカ大陸Ironmanレコードホルダーであり、現在の所出場したレースでは、すべて優勝している。その小柄な体型から繰り出すパワーとスピードを、このハワイの地で、どれだけ天候や風のコンディションが変わる中で、去年と同じ失敗をせずに、今年こそは、トップ10入りだけとは言わず、優勝を目標として、100%の力を発揮してもらいたい。
Linsey Corbin
いまだに、若手ながら数々のアイアンマンレースで優勝し、今年はIronman AustriaやIronman 70.3 Hawaii等で、優勝を重ね、毎年力を上げてきている、アメリカ出身モンタナガールのLinsey Corbinも優勝圏内で繰り広げるだろう。1ヶ月前の2012年70.3世界選手権レースでは、悔しくもバイク前半でパンクに悩まされ、そのままリタイアに終わったことから、十分にその力を発揮できずにいた。今年からTrekスポンサーに迎えられ、最新のRetulバイクフィットで、最高のバイクポジションを生み出し、更なるバイクでの速さをレースで証明してくれた。バイクだけではなく、得意のランで粘り強いペースを維持し、持っているポテンシャルと更に強化されたパフォーマンスを見せつけてくれるだろう。
Kelly Williamson
今年は、特に70.3レースのフィールドを荒らし、Ironman 70.3 Texas、San Juan、Mucineにて優勝を続々と飾り、強豪が集うHy-Veeアメリカ選手権、Ironman 70.3 世界選手権、そしてIronman世界選手権のビッグ3のレースに2ヶ月の間に出場を決意した、アメリカ代表Kelly Williamsonもトップ争いに絡んでくるだろう。驚異的なランスピードは、プロ男子を驚かす程で、今シーズンのどの選手よりも切れたランを見せてくれた。スイムもトップで上がってくる実力と経験を兼ね備え、一番弱点のバイクで、先頭の選手にどれだけ差をつけられないかが、勝利の分かれ目だ。これまでのパフォーマンスを維持して、このハワイの天候に耐え、すべてが上手く行けば、サブ2:50のマラソンコースレコード更新もあり得るので期待したい。
Meredith Kestler
今年は、3月に開催されたIronman New Zealandでの優勝を皮切りに、それからIronman St. GeorgeやCoeur D’Aleneでのレースでタイトルを稼ぎまくり、いままで以上に成長を遂げた、アメリカ代表Meredith Kestlerにも注目だ。エイジでのレース経験が長く、そこから得た年々強くなるパフォーマンスを活かし、得意のスイムから飛ばし、バランスの良いバイクとランのスピードで、独走するレーススタイルが勝利法だった。2012年70.3世界選手権では、スイムでトップ集団で上がったものの、怪我に悩まされていたことで、思った以上のパフォーマンスを発揮できずにいた。ハワイでは、その怪我からうまく回復し、ラスベガスでの苦い思いを、このハワイで爆発させ、本来の実力と経験を見せつけて欲しい。
ピンバック: 2012 Ironman Hawaii 記者会見 | TriWorldJapan