Abu Dhabi International Triathlon

石油先進国で多くの富裕層が住み、近代化に溢れる中にイスラム教という文化が強く根付いているアラブ首長国連邦。また、世界で8番目に多い観光都市としても国際的に有名なDubai(ドバイ)を筆頭に、ほとんどの国内の収入はツアーリズム(観光)を中心に得られ、世界各国からの2010年には、830万人くらいの観光客が訪問したと発表されている。その需要がある国の中で政治の中心である主要国家都市とされているのが、Abu Dhabi(アブダビ)であり、このトライアスロンレースの主催地になっている。

大会概要

Abu Dhabi International Triathlon大会が、2010年の3月に開催され、中東地域の中では、比較的新しいトライアスロン大会であり、毎年大きく成長している、とても中東文化の雰囲気が漂う中競技ができ、他の欧米大会にはない、とても独特な背景を持つ大規模レースである。

なぜこの中東という中で行われるレースが有名になったのかと言うと、2XU、GU、国関係の団体等のスポンサー規模が大きく、最大の魅力は、他の大会と比べ物にならないくらいの賞金の高額さにある。世界選手権以外のレースを見てみても、アメリカのショート(ドラフティング)レースのHy-Veeトライアスロンで優勝すると、15万ドル(約1千400万円)。この他にも、ショートからロングまで様々な距離でシリーズレースを世界で行っている、Revolution 3Challenge Familyなど高額な賞金配当をするレースはあるが、このAbu Dhabi Triathlonに関しては、優勝すると5万ドル(約480万円)という、新しいレースにしては高額の賞金が与えられる。総額にすると、23万ドル(約2200千万円)という賞金が1位から10位までの男女プロに配当される。

男女別々配当金額(2012年レース)

  • 1位ー$50、000
  • 2位ー$20,000
  • 3位ー$15,000
  • 4位ー$10,000
  • 5位ー$7、500
  • 6位ー$5,000
  • 7位ー$3,000
  • 8位ー$2,000
  • 9位ー$1,500
  • 10位ー$1,000

更に、嬉しいことにエイジグルーパーにも賞金が与えられるのがアスリートを呼び寄せる魅力でもある。それぞれのエイジカテゴリー優勝者に、$1,000(約8万円)が与えられる。プラス、バイク60K地点トップ、Yas Marina Circuit内の最速ラップ、最速スイムラップを出した方には、それぞれ賞品が与えられる。

このレースの最大の魅力は、賞金の額であるだろう。賞金と聞くとプロにしか手渡せれないと思いがちだが、この大会はエイジグルーパーにも入賞すると賞金が与えられる。一般の大会だと考えられないことだが、やはりこの国の富裕国家だということを象徴するような傾向が見てわかる。日本国内には絶対ないことだが、この賞金がアスリートへの刺激や動機になり、また、プロにとっては生活のかかっている”給料”となるため、世界のトライアスリートが集まってくるレースであり、どのアスリートからのレース自体の評判も最高に良いと聞かれる。

ロケーションと天候

アラブ首長国連邦と聞くと想像するのが、砂漠と言うイメージだったり、古典的な建物や銅像だと思うが、実際は奇麗なオーシャンブルーの海と年中青い空が広がり、近代的なビルやショッピングモールが並び、それと共にイスラム教を崇拝する人々の思想が国を囲み、他の国と比べてもその光景はまったく新しいものであり、そのような内情からこの国の急成長ぶりが垣間見れる。

中東の国と聞くと一番不安になるのが、近辺国の内戦や宗教的な違いからくる衝突による治安の悪さが頭をよぎるが、開催地であるAbu Dhabi自体は、周りの原油等の自然資源によって国自体に急成長し、大手の企業も多く進出していることもあり、治安に関しては問題ないと言われている。

気候は、赤道に近いため1年中暑く、レース時期の3月の例年最高気温は40度に達することもあり、平均温度は35度くらいあるそうだ。湿度も高く、日本の夏と似てるようだが、実際は、相当暑苦しいレースになるだろう。海の水温も高く塩水分量も多いため泳ぎやすいが、この値が高いほど脱水症状に陥る確率は上がるため、スイム中の脱水症状予防には、必ず注意した方が良さそうだ。

過去の事例で、アメリカ代表のオープンウォータースイマー、Fran Crippenが、2010年10月にアラブ国内で主催した10Kのオープンウォーター世界大会に出場した際、スイム中脱水症状にて死亡してしまったケースもある。

スイムパートだけでなく、バイク、ランに関しても、レース当日にしっかり水分補給をしないと、脱水症状や痙攣でリタイヤするプロやエイジグルーパーもいるくらいだ。あのハワイの暑さでも我慢強いCraig Alexanderさえも途中棄権で2011年のこのレースを終えてる。

補足だが、ある研究結果では、気温や水温の高い場所でのレースの場合、1週間前から徐々に水分補給量を増やすのが有効であると言われている。推奨されてる日々の水分摂取量は、最低でも2リットルと言われていて、この量の水分摂取をコンスタントに毎日とるのが”理想”とされている。この2リットルという数字は、ただ単に水だけをさしてるわけではなく、スープや野菜からでる水分、コーヒー、飲料水等も加えた水量だと考えられている。レース1、2日前から、水をがぶ飲みするのではなく、1週間前くらいから、アスリートそれぞれの水分摂取量や摂り方があると思うので、いつもの摂取量より多めに取っていた方が良いかと思う。

コースプロファイル

距離は、他のアイアンマンレースと違い面白い距離設定になっている。

ロングディスタンスは、スイム3K、バイク200K、ラン20K

ショートディスタンスは、スイム1.5K、バイク100K、ラン10K

そして、リレーや2011年からは、ショートの半分の距離のスプリントディスタンスもあり、それぞれのアスリートのレベルに合わせた距離をオファーしている。

スイムは、ハワイ並みにとても奇麗なオーシャンスイムのコースを2周回、ウェットは水温によってルールが変わってくるが、ほとんどのプロは、スイムスキンスーツを着るタイプの方使っており、エイジはウェットスーツを着ている選手が多いようだ。

バイクコースは、ほぼ平坦な道が多く、道路もしっかりと舗装されているので、相当な高速コースになるだろうと予想。バイクパートはコースを2周回で、Abu Dhabiの都市を見ながら、その他の観光名所等を抜け、コース途中には、Yas Marina CircuitというF1のサーキットコースを周回する場所もあり、バイク乗りとしては相当エキサイティングなコース展開になっている。

ランコースは、例年と変わらず、バイクと同様でビーチ沿いで、近代的な高層ビルを横目に平坦な道でありハーフアイアンマンの様なスピードを伴うランスタイルが必要となってくる。距離が短い程、スピードレースになるため、高い強度から脱水する確率が上がる、そのため給水の場所等は事前にチェックし、常に補給を意識し、痙攣や脱水症状に注意してもらいたい。何人もの選手がフィニッシュ直後に人手を必要とするような状態に陥る光景がみられる。

トランジションは、去年まではバイクとランスタートが別々の場所にあったが、今年から1つになるそうだ。

過去のレース

この大会は、ヨーロッパやアジアからのアクセスがとても良く、時期的にもオフシーズン明けのコンディションの仕上がりを見るために、プロのトライアスリートがこぞって出場してくる。更に、国の発展のために、プロのトライアスリートを各国から招待という形でほぼ全額スポンサーで呼び寄せるということもしているので、プロアスリートの層も相当暑いものになっているので、観戦する側としてもとても熱い大会になっている。

2011年大会では、アイアンマンハワイ、トップ20の選手がほとんど出場していて、この年に騒がれた話題としては、Macca(Chris Maccormack)V.S. Crowie(Craig Alexander)として、2010年アイアンマンハワイぶりに対決する二人の話題で持ち切りだった。

過去の出場選手

男子

2008、2009、2011アイアンマン世界チャンピオンCraig Alexander

2007、2010アイアンマン世界チャンピオンChris Maccormack

2010年大会優勝のEneko Llanos

2011年大会優勝のFredrik Van Lierde

北欧の最速バイクライダーBjorn Anderson

デンマーク代表オリンピックスピードスターのRasmus Henning

ルクセンブルク代表オリンピアン、2011年ハワイ4位Dirk Bockel

ドイツ代表で各地のアイアンマン大会のチャンピオン履歴を持つ、Timo Bracht

ベルギー代表アイアンマンコースレーコードホルダー、Marino Vahnhonacker

ニュージーランド代表で日本の常滑大会でもおなじみの、Cameron Brown

女子

アイアンマン70.3世界チャンプで、Abu Dhabi Triathlon2連覇中、Julie Dibens

スイス代表Team TBB所属のCaroline Steffen

スペイン代表で2010ハワイトップ5に入った、Virginia Berasategui

アイアンマンハワイトップ5に過去2回入っている、Rachel Joyce

去年は絶好調で、2011アイアンマンハワイ3位入賞した、Leanda Cave

2011年レースリキャップ動画

 

トライアスロンチーム

過去2005年にTri Dubaiというプロのアイアンマン選手をメインに編成されたチームが発足されたことがある。このチームは、世界チャンピオンクラスの選手がそろっており、Peter Reid、Tim DeBoom、Simon Lessing、Norman Stadler、Cam Brown、Chris Legh、Kate Major、Heather Fuhr、Joana Lawn、Craig Alexanderも所属していた。Dubaiの宣伝活動を主にするためにため発足されたが、すぐに2006年に解散してしまった。ということもあり、チーム自身もトレーニングキャンプ拠点をDubaiで行っており、とても練習環境としても良い場所だったと言える。

そして、2010年には、新しくAbu Dhabi Triathlon Teamというプロトライアスロンチームが、この大会を期に結成され、毎年メンバー全員が参加してる。その中でも、2005年アイアンマンハワイ優勝者のFaris Al-saltan、Rachael Joyce、Paul Ambroseというトップアイアンマン選手が所属している。過去には、2011年アイアンマンハワイ2位のランナーアップ、Pete Jacobsも2010年まではこのチームにいたことがある。

感想

レースだけではなく、たくさんの観光や奇麗な景色を感じ、中東の文化にも触れ合える場所でもある。すでに、プロの選手を含め、2年連続この大会へ戻ってくる選手も多いことから、比較的新しい観光地として定着していることもあるが、自国発信のトライアスロンチームも発足するくらい、宗教上色々な決まりや禁止事項がある中、このトライアスロンというスポーツを通じて、幅広く自国の宣伝活動していることは、日本国内のレースやチームも見習って試みて頂きたいと思う。宗教的な偏見や中東地域のイメージから異様な雰囲気が漂っているようだが、アラブ首長国連邦という国は、実際トライアスロンレースやオープンウォーターレース等を含め、新しいことに挑戦することにとても興味深い国柄で、これから世界的にもこのレースの良さを通して、アイアンマンに劣らない人気レースに成長をするだろうと思う。

今年、2012年の出場選手発表はまだないが、来月くらいには発表されうだろう。その際は、またここのブログで発表するのでチェックしてもらいたい。

Abu Dhabi International Triathlon」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 2013 Abu Dhabi Triathlon プレビュー | TriWorldJapan·

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