コロナによるレースの行方

今年は、コロナウィルス情勢によって、トライアスロンに限らず、マラソンやサイクリングなど、数々のレースのキャンセルや延期が続出している。ツールド・フランスからボストンやニューヨークシティー・マラソンまで、歴史のある大規模レースイベントが、キャンセルを余儀なくされる事態だ。

トライアスロン界も、一度２０２１年２月に延期となった２０２０年度版のアイアンマン・ハワイ世界選手権が開催中止となり、今年１１月にニュージーランドで開催予定だったアイアンマン７０．３世界選手権が２０２２年１２月へ延期が発表された。

すでに、今年の東京オリンピックやITUワールドシリーズレースも開催延期もあり、さらに世界選手権レベルのレースの大幅な延期に対しても、業界にショックを与えた。４３年間続いたアイアンマン・ハワイがキャンセルになったことで、今年残りのレース開催に大きく影響される。

去年の９月以降のアイアンマンレースで、２０２０年度世界選手権の権利を、すでに取っている選手は、２０２１年か２０２２年の世界選手権への権利移行が可能。そして、アイアンマン７０．３世界選手権の出場権利を取っている選手は、すでに開催が決定している２０２１年の米国ユタ州で開催されるアイアンマン７０．３セイントジョージへの移行が可能となる。

世界選手権以外のレース

現時点の北アメリカ地区のレース開催は、収束を見せないコロナの影響をさらに受け、９月までのアイアンマンレースは、キャンセルや延期が決定している。このままだと、今年全てのレースがキャンセルまたは、来年へと延期となると予想。

同じく、ヨーロッパ、アジアパシフィック、南アメリカ、そして南アフリカのレースもほぼレースがキャンセルまたは延期となっている。国や開催地機関の判断によって開催が可否が決まるアイアンマンレースだが、メキシコで開催される１１月のアイアンマン・コズメルや９月に延期となった７０．３モンテレイと７０．３コズメルは、開催の意図をいまだに示している。

すでに今年のレースへ申し込んでいる選手は、キャンセルまたは延期が発表された時点で、レース管理者やアイアンマンオフィスから、レース移行するためのメールが届くはずだ。翌年のレースまたは、他のレースへの移行へのオプションしか現在ない状態だ。そして、レースエントリーをキャンセルして、返金を希望することは難しい。すでに、エントリーをした時点で天災や災害での返金が無効な契約を結んでいるためだ。実際に、エントリー費だけではなく、個々ですでに支払っている旅行代金なども影響され、かなりのロスとなる。アイアンマンレースエントリー（特にすべての米国内レースや他対象のレースのみ）の際に、返金オプションプランを支払っていれば、フルで返金される。

しかし、全てのアスリートが、返金不可に納得するわけでもなく、すでに多くのクレームや返金希望の声が多い。米国内では、WTC（アイアンマン運営会社）が訴えられる事態にもなっている。

レースをすべきか？

トライアスロンレースになると、何百人から何千人規模のレースとなり、感染するリスクを大きく伴う。

いくらアイアンマンがコロナ対策のレース運営のプロトコールを導入したとしても、参加のアスリート達間の感染リスクを予防したとしても、その開催地域や住民への感染影響が、滞在場所、レストラン、公共施設などを通して広まる可能性もある。

今まで時間をかけて練習をして、少しずつアスリートとしてパワーアップしてきたことも、感染してしまえば、その自身のパフォーマンスや努力が、すぐに失われてしまう恐れがあるウィルスだ。アスリートとして、このウィルスの怖い所は、肺を損傷するケースが多く、ウィルスから回復しても、その肺へのダメージを完治するには、多くの時間がかかり、損傷が残る可能性もある。この療養期間に、練習することも、今まで以上に苦しい状況になる。

レースがキャンセルや延期となり、目標をなくした今では、モチベーションのコントロールも難しい心境だ。僕自身も、プールやジムへ行く事を控えて、完全に室内や屋外、オープンウォーターでできるトレーニング方法でずっと練習している。そして、このモチベーションを維持するには、パーソナルトラアスロンコーチを持つ事も大きく影響する。今はただ、公共での人との接触を減らし、可能なトレーニング方法で辛抱強く、このコロナウィルスのワクチンが表に出てくるのを待つことしかできないのか。