2014 Ironman 70.3 世界選手権ハイライト

2014IM70.3WorldFrontPage

今年の世界選手権レースは、レース開催地が、カナダのMont-Tremblantの地に移ったことにより、バイクとランパートでは、アップダウンが激しく、個々の本当の実力を試されるコースとなった。去年までの世界選手権とは、一味違うレース展開が、今年行われ、ITU選手やオリンピアンを多く含む、高速レースとして白熱した展開となった。

プロ男子

先日発表されたスタートリストから、3xIM世界王者のオーストラリア代表Craig Alexander(クレッグ・アレキサンダー)やドイツ代表Andreas Raelert(アンドレアズ・ラエラート)、ITU世界王者のオーストラリア代表Peter Robertson(ピーター・ロバートソン)等、多くのトップ選手が出場予定だったが、結局10人以上不在の中でも、大きな期待のかかる五輪メダリストやITU選手勢が多く集まり、いままでにない高速レース展開が進んだ。

2014IM70.3WorldSwimStart

スイムがスタートしてから、去年のスイムリーダーであるオーストラリア代表Josh Amberger(ジョシュ・アンバーガー)が、先導し始めたものの、北京五輪金メダリストのドイツ代表Jan Frodeno(ヤン・フロデノ)とロンドン五輪銀メダリストのスペイン代表Javier Gomez(ハビエル・ゴメズ)が、先頭へと交代しリードを取り始めた。その後も、スイムの強いオーストラリア代表Clayton Fettel(クレイトン・フェテル)とAmbergerを引き連れたパックで泳ぐ中、20人近い選手が10秒遅れで、1列に連なりレースを進めていった。

最初にスイムフィニッシュゲートを通過したのは、優勝候補のGomezが、スポンサーのROKAウェットスーツのクオリティーを証明するかの様に、22分9秒という高速スイムラップで先頭で上がり、FrodenoAmbergerFettelの順で、先頭パックがトランジションへと向かった。その数秒後すぐに、優勝候補勢の地元カナダ代表Brent McMahon(ブレント・マクマホン)やオリンピアンのオーストラリア代表Brad Kahlefeldt(ブラッド・カールフェルド)、2008年IM70.3世界王者ニュージーランド代表Terenzo Bozzone(テレンゾ・ボゾー二)、2006年ITU世界王者イギリス代表Tim Don(ティム・ドン)等含むパックが、先頭スイムフィニッシュから1分間に20人程が続々と連なってバイクスタートへ向かった。そして、注目のディフェンディング世界王者のドイツ代表Sebastian Kienle(セバスチャン・キーンル)は、やはり苦手のスイムで、3分の遅れとなり、得意のバイクでの追い上げに期待がかかっていた。

最初の7キロ地点では、オリンピアン勢のGomezFrodenoKahlefeldtMcMahonやアメリカ代表勢のMatt Chrabot(マット・シャーボット)、Ben Collins(ベン・コリンズ)を含む10人程のパックが形成された。後方から、30秒差をつめようと、Bozzoneやバイクを得意とするオーストラリア代表Joe Gambles(ジョー・ギャンブルズ)、ドイツ代表Nils Frommhold(ニルズ・フロムフォールド)、そして注目のオーストラリア代表Tim Reed(ティム・リード)が、そのギャップを詰めようと前半から全力で追いかけ始めた。

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過去2年の世界選手権で高速バイクを見せていたKienleは、思った様なパフォーマンスが発揮できずに、3分の差が詰められずにいた。その中で、去年のIM世界4位の南アフリカ代表James Cunnama(ジェイムス・カナマ)とドイツ代表Patrick Lange(パトリック・ランゲ)が、一方のメカトラブルにより、落車しリタイヤした。

この間にも先頭のペースは変わらず、パックの先頭を何度か交代する中で、後ろから迫ってくるBozzoneGamblesが、バイク33キロ地点で追いつくことができた。その後もCollinsが、パックの先頭をリードする中で、GomezFrodeno等のオリンピアンも同じパックで接戦を繰り広げる。81キロ地点を過ぎた所で、Gamblesを先頭に、CollinsFrodenoAmbergerFrommholdBozzoneReedDonGomezChrabotを含むリードパックで完全に形成され、ランでの力をセーブするためにも、Gomezは、パックの後方に位置付き様子を見る様に、自身のレースプランを進めているようだった。

この間にも、後ろの選手達は、アップダウンのあるコースに悩まされる中で、一番の驚きだったのが、バイクを得意とするKienleが、全く差を詰められずにおり、逆に3分差が5分へと広がり、かなり苦戦していた。だが、そのKienleを驚かせる様なバイクパフォーマンスを見せたのが、地元カナダ代表Lionel Sanders(ライオネル・サンダース)が、スイムの一番最後38位でフィニッシュし、先頭と4分以上の差があったのにも関わらず、かなりのハイペースで、バイク81キロ地点では、14位まで順位を上げ、大得意のランでの勝負へ持っていけるかが、大きな期待となった。

最初に、トランジションへ帰ってきたのは、Collinsを先頭に、FrodenoGamblesFrommholdBozzoneAmbergerReedDonChrabotの順でトランジションへ向かい、注目のGomezは、先頭から30秒遅れてランスタートすることになった。1分以上遅れて、ITU出身イギリス代表Will Clarke(ウィル・クラーク)やオーストラリア代表James Seears(ジェイムス・シアーズ)、2010年デュアスロン世界王者のベルギー代表Bart Aernouts(バート・アーナッツ)、最下位スイムフィニッシュしたSandersを含む第2パックが続いた。

ラン2キロ地点を通過した時には、すでにGomezが30秒の遅れを取り戻し、先頭をFrodenoと並走する展開へと持っていった。その30秒後に、BozzoneGamblesReedDonFrommholdが、先頭からさらに離されない様に、ペースをしっかりと作りながら先頭との距離を保ち始めた。

Copyright Photo from triathlete.com

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下り坂を使い、Gomezが早々にアクションを起こし、Frodenoを引き離し、その差を14秒開け始めた。Gomezのキロ3分15秒ペースは、アップダウンのあるランコースでも、決して落ちることなく、そのまま10キロ地点では、32分台のタイムで通過し、ITU世界王者としての高速ランを見せ始めた。その差を広げない様に、Frodenoも、ペースを落とすことなく、順調に2位通過し、先頭を行くGomezとの差をつめられるか、後半の課題となっていった。

徐々に、アップダウンの激しいバイクで脚を使いすぎたのか、ReedBozzoneFrommfoldGamblesが先頭から1分半程の差を開けられてしまうが、唯一ピュアランナーのDonが、1分差のまま3位を維持し始めた。そして、注目される地元代表のSandersは、バイクでのハイペースの後、ランはしっかり走れるのかが一番の心配だったものの、得意のランをスタートしても、ペースは落ちることなく、10キロ地点では、ランスタート14位から9位まで順位を上げ、他のベテランアスリートを次々と抜かしていった。

ランレースは、大きな展開を迎えることなく、一週間前に、4度目のITU世界王者に輝き、ロンドン五輪銀メダリストのスーパースターであるスペイン代表Javier Gomezが、圧倒的な強さで、そのITUの高速レーススタイルを、そのままIM70.3世界選手権にも活かし、初出場にて、2014年Ironman 70.3世界王者へと輝いた。

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40秒程遅れて、今年最もブレークスルーなシーズンを迎えた北京五輪金メダリストのドイツ代表Jan Frodenoが、2位に入賞した。最後のランで、3位をキープしたのが、2006年ITU世界王者イギリス代表Tim Donがフィニッシュし、スイムでの最下位38位から、バイクとランで素晴らしい追い上げを見せた、地元カナダ代表Lionel Sandersが、4位へと上がり、これから大きな期待のかかるパフォーマンスを見せてくれた。5位には、今年IMハワイへも出場を決め、徐々にその頭角を見せ始めたドイツ代表Nils Frommholdがフィニッシュした。

リザルト

1.Javier Gomez(スペイン)

00:22:09 02:06:18 01:09:27 03:41:30

2.Jan Frodeno(ドイツ)

00:22:10 02:05:48 01:10:36 03:42:11

3.Tim Don(イギリス)

00:22:41 02:05:18 01:12:44 03:44:38

4.Lionel Sanders(カナダ)

00:26:42 02:04:14 01:11:21 03:46:03

5.Nils Frommfold(ドイツ)

00:22:39 02:05:10 01:14:45 03:46:25

 

プロ女子

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このプロ女子フィールドも、プロ男子同様に、オリンピアンやITUレーサー達が集まる中で、現在アイアンマンディスタンスで活躍する多くのトップ選手達も、IMハワイ世界選手権へ向けての調整の一環で、レースへと望んだ。

やはり、スイムスタートから、プロ男子並みの速さを見せる、イギリス代表Jodie Swallow(ジョディー・スワロー)が、早速リードをし始める。それに続き、オリンピアン勢のデンマーク代表Helle Fredriksen(ヘリー・フレドリクセン)やスイス代表Daniela Ryf(ダニエラ・リフ)、アイアンマンディスタンスで活躍するアメリカ代表Mary Beth Ellis(メリー・ベスエリス)、去年のIM70.3世界3位のオーストラリア代表Annabel Luxford(アナベル・ラクスフォード)を含む5人の先頭パックがレースを進める。

最初にスイムフィニッシュを果たしたのは、やはりSwallowで、23分59秒で1位通過し、そのすぐ後ろに、FredriksenEllisRyfLuxfordの4人が続いた。30秒以上遅れて、優勝候補のアメリカ代表Meredith Kessler(メレディス・ケスラー)や地元カナダ代表Magali Tisseyre(マゲーリ・ティセーリ)、オリンピアン勢のドイツ代表Svenja Bazlen(ベニャ・バズレン)とチェコ代表Radka Vodickova(ライカ・ボディコバ)を含む第2集団が、続々とフィニッシュし、バイクでの追い上げを見せる展開となった。

ディフェンディング王者であるオーストラリア代表Melissa Hauschildt(メリッサ・ハウシュルド)は、苦手のスイムで、トップと2分半の遅れでスタートし、これからバイクで追い上げ、得意のランで勝負できるかが、大きな鍵となっていった。そして、去年のIM70.3世界2位のアメリカ代表Heather Jackson(ヘザー・ジャクソン)も、スイムで3分以上遅れたことにより、Hauschildtと同じ様な展開に持っていきたい所だが、怪我からの復帰で大きな不安要素を持ったままバイクをスタートした。

バイクスタートをしてから、バイクを苦手をしてきたSwallowが、スポンサーバイクの新しいScott Plasma 5の威力を見せる機会として、先頭をリードし始めた。そのすぐ後ろには、ITU界でもバイクを強みとし好評を得ているRyfが、様子を見ながら前半は様子を見ながら、レースを進めていった。7キロ地点を通過したところで、先頭パックの5人を追いかける、BazlanTisseyreVodickovaが1分差を縮めようとレースが進む中、Kesslerがすでにこの時点で時間をロスし始めていた様に見えた。

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バイクパートで追い上げることを重要視していた、地元カナダ代表勢のHeather Wurtele(ヘザー・ワーテリ)やRachel McBride(レイチェル・マクブライド)、Melanie McQuiaid(メラニー・マクブライド)、そしてHauschildtが、徐々に差を詰め始める。だが、先頭パックは、それ以上のペースでバイクを走る中で、第2パックは、33キロ地点で、2分近く差が広がり始め、追い上げることにかなり苦戦し始めた。

バイクの後半戦に入ると、突如Ryfが先頭へ抜け出し、得意のバイク力で、他の選手から引き離し始める。66キロ地点では、すでにその差は、2位以降に1分以上の差をつけ、確実なバイクの強さを見せ、自身のレースをすすめた。そのままの好位置で、先頭のRyfが、バイクフィニッシュし、2位のSwallowに、2分半の差、そして、現世界王者のHauschildtに対しては、8分以上の差をつけてランスタートした。だが、Hauschildtは、バイクフィニッシュ後に、ランで追いかけることができないことが、大きく気持ちの変化に出たのか、リタイヤを決断した。

ロンドンオリンピアンRyfのペースは、ランでも落ちることなく、順調に5キロを、19分台で通過した後、2分48秒遅れで、Swallowもスピードを落とすことなく、成長したランを見せ、Ellisがリードと3分半遅れで3位で通過した。後ろから、バイクで遅れを取ったKesslerWurteleが徐々に、得意のランで差を詰める中、バイクパートで持っているパワーの96%(FTP値)で走りきったFredriksenは、ランに残りの力を発揮できずに、リタイヤとなってしまった。

ランの残り3キロを残すところでも、Ryfのスピードは落ちずに、リードをキープする中で、2位のSwallowは、徐々に差を2分半までに縮めるが、かなり苦闘が続いた。3位をキープするEllisは、10キロ地点から、スピードが落ち、それをチャンスに、KesslerWurteleが、順位を上げ始めた。

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強みのバイクでの逃げがうまく成功したことで、ランでもスピードを落とすことなく、完璧なレースプランを遂行したスイス代表Daniela Ryfが、このIronman 70.3 世界選手権初出場で、キャリア初の世界タイトルを得て優勝を果たした。2位には、今年コーチを変えてから、大きく進化したイギリス代表Jodie Swallowが、2分半遅れで入賞し、来月開催されるIronmanハワイでの活躍に期待できるパフォーマンスを見せた。地元カナダ代表Heather Wurteleが、スイムの遅れをバイクとランでカバーするスピードを見せ、地元カナダで、トップ3入りを果たすことができ、大きな歓声を得るフィニッシュシーンとなった。

4位には、今年最も調子の良いアメリカ代表Meredith Kesslerが、ランナーアップスポットで入賞し、スイムとバイクで先頭パックの好位置で争っていた、アメリカ代表Mary Beth Ellisが、ランで順位を落とすものの5位の位置をキープし、トップ5入りを果たした。

リザルト

1.Daniela Ryf(スイス)

00:24:04 02:16:46 01:24:30 04:09:19

2.Jodie Swallow(イギリス)

00:23:59 02:19:28 01:24:10 04:11:43

3.Heather Wurtele(カナダ)

00:26:24 02:21:53 01:22:19 04:14:55

4.Meredith Kessler(アメリカ)

00:24:36 02:22:32 01:24:12 04:16:03

5.Mary Beth Ellis(アメリカ)

00:24:01 02:20:04 01:28:45 04:17:03

 

2014年Ironman 70.3 Mont-Tremblant世界選手権ハイライトビデオ

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