2011年から始まったWTC主催の5150シリーズ(ノンドラフティング・オリンピックディスタンス)のアメリカ選手権が、多くのロンドンオリンピック選手等を迎え、2012年9月2日に開催される。WTC主催である他のIronmanや70.3のプロランキング同様に、5150シリーズ、Lifetime Triathlonシリーズもしくは、70.3のレースにてポイントを稼ぎ、エリート男女それぞれ30人まで出場権が与えられる。
2010年までは、アメリカ国内のエリートカップの一つとして、ドラフティング・レースとして有名な大会であったが、去年からは、ドラフティングなしのノンドラフティング大会として始めて開催され、ショートからロングのプロ選手まで、幅広い層の中、個々の実力がでるノンドラフティングレースにて、どのような展開になるのかが、今年も注目である。
長年このイベントの醍醐味と言えば、エリート選手にとって、高額の優勝賞金151,500米国ドル(約1180万円)が、1位に与えられることだろう。だが、2位から30位までも、高額な賞金が与えられることで、生活費を稼ぎたいトッププロ選手に取って外せない大会でもある。そして、それぞれ3種目合わせたラップ数10回分(スイム2ラップ、バイク4ラップ、ラン4ラップ)のそれぞれ1位通過の選手に、毎ラップごと5、150ドル(約40万)与えられ、総合ボーナス額男女それぞれ503,00ドル(約400万)が備えられていることも、この賞金レースとして有名な所だろう。
今回は、オリンピックの年ということで、特別枠として、メダル獲得者やトップ5の選手を招待状を出し、今回出場を決めたのが、金メダリストのAlistair Brownlee、銀メダリストのJavier Gomez、そして、女子銀メダリストのLisa Norden、4位でフィニッシュしたアメリカ代表Sara Groffが招待選手として選ばれた。金メダルを獲得したプロ女子のNicola Spirigに関しては、5150プロランキングにて枠は取れているが、オリンピック以降のレースは控え、オフシーズンに入るとコメントしたため、Hy-Veeトライアスロンの出場リストに載っているが、参戦するかは不明だ。
エリート男子
Alistair Brownlee(アリステアー・ブラウンリー)
ロンドンオリンピックで金メダルを得た後、特別枠としてメダリストが招待された一人として注目なのが、このイギリス代表Alistair Brownleeだろう。実際、ノンドラフティングレースには、出場することはない選手だが、常に先頭を引き続けられる能力と3種目ともに力を持っているので、この個人の能力が必要されるHy-Vee Triathlonのフィールドにて、どれだけの力を発揮できるのかが、今後将来ITUレース以外のイベントに出場する際の目安としても、とても期待のできるレースになり、優勝候補一番の選手だろう。
Javier Gomez(ハビエル・ゴメズ)
ロンドンオリンピックにて、ラスト1キロのランで、苦しくも銀メダルで終わってしまい、またも今回金メダリストのAlistair Brownleeと直接対決になってしまうことになった、スペイン代表のITU世界王者のJavier Gomezが、得意のノンドラフティングレースで、優勝を勝ち取ることが出来るかが注目だ。ITUのシーズンが終わる頃に、Los Angels Triathlon等に出場し、確実にその自身の実力を見せ、ノンドラフティングレースでの優勝を重ねてきているので、こちらも優勝を逃すことができないプレッシャー下にいる選手であろう。
Greg Bennett(グレッグ・ベネット)
前年度のHy-Veeの覇者で、過去に2度も優勝しており、過去にトヨタカップ(ノンドラフティング・シリーズ全5レース)で、グランドスラムも果たしているアメリカ代表Greg Bennettも外せない。ベテラン選手として、ここ5年間力をいれて来ている得意なレースコンディションであり、ITUレースやアテネオリンピック出場などで、鍛え上げてきたスピードと自身の持つバイクの強さを活かし、最後の得意のランで粘りきれるかが、彼の優勝の戦略になるだろう。
Chris “Macca” McCormack(クリス・マッコーマック)
今年は、オリンピックを目指すため、スピードの強化に捧げて来たシーズンを送り、オリンピックへの切符得れなかったものの、それから2012 ITUロングディスタンス王者へなったカリスマのオーストラリア代表Chris McCormack外せない存在だ。現在、ハワイにてIronman世界選手権に向けての調整の一部として今回参戦するが、ショート上がりで、ロングでの自身のフィジカルとメンタルの強さを持ち、2度アイアンマン世界王者として、今回その潜在能力をこのフィールドでどれだけ発揮できるかが必見だ。
Hunter Kemper(ハンター・ケンパー)
アメリカ代表オリンピック出場を通して、現在最も体調が最高潮にいる、4度オリンピック代表選手のベテランHunter Kemperも、今年は、2週間前のChicago Triathlonで余裕の優勝を果たし、大規模なメジャーレースで、その強さを見せつけているので、ロンドンオリンピックで悔しい結果になった分、アメリカ地元選手としてのプライドを持ち、Hy-Veeにて、確実に優勝を狙っているだろう。
Cameron Dye(キャメロン・ダイ)
ここ数年で、主にトヨタカップやRevolution 3などのアメリカ国内レースで実力を磨き始めてる選手であるアメリカ代表ノンドラフティング・ヤングスターCameron Dyeも注目だ。スイムでは常にトップで上がり、驚異的なバイクで他を引き離し、常にランで粘り勝つというスタイルで今年多数の優勝を重ねていることから、ウィンドトンネルテストで得たポジションとエアロ効果を、自身スポンサーされているのKestrel 4000のバイクで、どれだけ差をつけられるかが、彼の優勝の鍵だろう。
Filip Osplay(フィリップ・オスプレイ)
元ITUレーサーで、オリンピック出場経験のある、チェコ代表Philip Osplayもトヨタカップにて優勝の経験があり、2010年のIronman 70.3世界選手権では、あの2度70.3世界王者Michael Raelertとランで、15キロまで競り合ったくらい高速ランの力を持っており、常にトップ争いに貢献するだろう。
エリート女子
Lisa Norden(リサ・ノルデン)
ロンドンオリンピックでの素晴らしい活躍を見せた、銀メダリストで、去年のHy-Vee Triathlon優勝者のスウェーデン代表Lisa Norden出場を決めた。今年始めは、怪我に悩まされていたが、オリンピックで見事な復活劇を見せ、先週末のITU WTS Stockholmのスプリント選手権で優勝し、今回そのフルスピードを活かし、連覇を目指し、Hy-Veeにて、新たに素晴らしい経歴を刻見続けるだろう。
Sarah Haskins(サラ・ハスキンズ)
ロンドンオリンピック代表に選ばれなかったものの、その間、今年のLifetime Fitnessシリーズを総なめし、ノンドラフティング・レースでは、負けなしの2011年Hy-Veeを2位でフィニッシュしたアメリカ代表Sarah Haskinsに期待がかかる。スイムをトップ集団で上がって来ることができ、得意のバイクで後ろの集団から、逃げ切り凄まじいバイクタイムを常にレコードする。キレのあるランでそのまま他を引き寄せずフィニッシュするスタイルが通用すれば、完璧なレースになるだろう。
Laura Bennett(ローラ・ベネット)
Hy-Vee Triathlonにて、2007年に優勝経験があり、コーチである夫Gregの元で、今まで数々のITUレースだけに限らず、Lifetime FitnessシリーズやIM70.3等で、ノンドラフティングでの強さを見せつけてきた。今年のロンドンオリンピックにもアメリカ代表として選ばれ、エリート女子の中でもベテランの選手で、これからここでの優勝を期に、ロングの道へ進んで行くかが注目であり、彼女のポテンシャルがどこまで出せるかが、優勝の分かれ目だ。
Sara Groff(サラ・グロフ)
ロンドンオリンピックでは、アメリカ代表の秘密兵器として、メダル獲得に向け、最後5キロトップ集団に離れたものの、ランナーアップで4位までに追いついた、プロデビュー2年目の新人選手である、Sara Groffのポテンシャルの高さにも期待したい。ランの弱さを強化し、現在絶頂期にいる選手なので、このオリンピックのスピードとタフさを出してくれれば、優勝も目ではない。
Melissa (Rollison) Hauschildt(メリッサ・ハウチルド)
元々トラックランナーとして成長を遂げ、怪我が続き引退後、トライアスロン界でプロデビューを決め2年間で凄まじいパフォーマンスを見せ、2011 Ironman 70.3世界選手権にて初出場で優勝したオーストラリア代表Melissa Hauschildtも外せない。去年のNoosa Triathlon(ノンドフティング・オリンピックディスタンス)にてランナーアップで優勝し、ランのピュアなスピーだけではなく、スイムとバイクもしっかりとした力を持っていることから、一番苦手のスイムでのポジション取りが彼女の優勝分かれ目になる。
Kelly Williamson(ケリー・ウィリアムソン)
今年は、IM70.3レースのSan Juan、Texas、Mucineにて優勝を飾り、現アメリカ地区王者のKelly Williamsonもミドルディスタンスの選手だが、オリンピックディスタンスにも通用する力を持っているので注目だ。St. Anthony Triathlon(オリンピックディスタンス)では、ラン10キロを34分代で走りきれるスピードも持っているので、彼女がトップ集団に残った時には、他の選手に取って優勝が別れる脅威になる。
Daniela Ryf(ダニエラ・リフ)
こちらもスイス代表オリンピック選手として出場し、良い結果を出せずに40位で終わってしまったが、ヨーロッパの5150シリーズである、ヨーロッパ選手権Liverpoolとオーストリア大会で優勝を飾っていることから、ITUレースよりか、ノンドラフティングレースに適したパフォーマンス力を持っていることから、他の選手に劣らない実力を見せ、この強豪ぞろいのフィールドに刺激をいれる存在になるだろう。
2010年Hy-Vee Triathlonハイライト
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